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AIに代替されるか不安なとき 職種ではなく工程で境界を引く3つの問い

AIで業務が速くなるなか、自分の仕事はどうなるのか。職種という単位ではなく工程に分けて、AIが速い部分と自分が確かめている部分の境界を引く整理のしかたを、3つの問いと手順でまとめました。

打ち合わせの記録の要約、資料のたたき台、長い文章の要点整理。少し前まで数十分かかっていた作業が、短い時間で形になるようになりました。手元の仕事が軽くなった実感を持っている方も多いと思います。

その一方で、ふと手が止まる瞬間があります。この速さで進むなら、自分が担っていた部分はこの先どうなるのだろう、という感覚です。「この職種はAIに置き換わる」という言い方を目にして、落ち着かなくなることもあります。

ただ、職種という単位で考えると、答えが出にくくなります。同じ職種名でも、実際に担っている中身は人によって違うからです。この記事では、自分の仕事を工程に分けて、工程ごとにAIが速い部分と自分が確かめている部分の境界を引く、という整理のしかたを扱います。

「この職種は残るか」では答えが出にくい

職種名は、いくつもの工程が束ねられた呼び名です。営業と一言で言っても、情報を集める工程、提案を組み立てる工程、相手の迷いを聞く工程、社内を動かす工程が含まれます。人事も、募集条件を整える工程、面接で見極める工程、入社後の立ち上がりを支える工程が混ざっています。

束ねられたままだと、「残るか、残らないか」の問いに答えが出ません。束の中には、確かに速くなった工程もあるし、速くなっていない工程もあるからです。だから同じ職種の人同士で話しても、不安の濃さがかみ合わないことがあります。担っている工程が違えば、感触も違います。

逆に言えば、工程に分けると見え方が変わります。自分の仕事のどこが軽くなり、どこが軽くならなかったのか。その差が、自分が何を担ってきた人なのかを映します。「職種として残るか」ではなく、「自分はどの工程で何を確かめているか」に置き換えると、手触りのある整理になります。

工程に分けると、残る部分は問いの形で現れる

ここで、私たちStaneer Agentの支援の流れを例にします。適性検査、キャリアセッションと呼んでいる対話、キャリアシートの作成、求人の提案と話し合い、企業ごとの面接対策、そして最後の意思決定。この流れを工程として並べ、それぞれでAIに任せている部分と、人が見ている部分を分けています。

AIに任せている部分は、たとえばこうした作業です。

  • 事前にいただいた情報から、聞きたいことの仮説を下書きする
  • 対話の記録を要約し、聞けていない項目を洗い出す
  • 求人情報の要点を整理し、希望条件との照らし合わせを一覧にする
  • 想定される質問を作り、回答案に抜けがないか確認する
  • 複数社を比べるための整理表をつくる

一方で、人が見ている部分は次のようなことです。

  • その方の本音に近づけているか
  • 転職理由を、提案の軸になるくらい深く聞けているか
  • その方の理由と、企業の魅力が本当につながっているか
  • 面接で、自分の言葉で話せているか。中長期の方向に熱量があるか
  • こちらの関わりが、意思決定を歪めていないか
  • 迷い、ご家族の事情、現職に残りたい気持ちを掴めているか

二つのリストを並べると、形の違いに気づきます。前者は作業名で書けます。後者は作業名では書けず、「〜しているか」という問いの形になります。AIが速くなったのは、名前のついた作業です。残っているのは、名前のつかない問いです。これは支援の仕事に限らず、多くの職種で同じように起きていることだと思います。

境界を引くときの3つの問い

工程ごとに境界を引くとき、次の3つで分けると整理しやすくなります。どちらが上という話ではなく、確かめ方が違う、という区別です。

1. 情報が揃っているか / 相手の本音に近づけているか

必要な項目が埋まっているか、抜けがないか。これは手元の資料を見れば確認できます。チェックの対象がこちら側にあるので、AIが速い領域です。

一方で、相手が本当に言いたかったことに近づけているかは、資料の中では確認できません。答えは相手の中にしかありません。聞き方を変える、沈黙を待つ、別の角度から聞き直す。この部分は、確認ではなく問い続ける作業になります。

2. 条件が合っているか / 理由と中身が本当につながっているか

条件の照合は、照らし合わせれば答えが出ます。希望と実際のずれも、一覧にすれば見えます。ここは任せられます。

ただ、条件が合っていることと、その人の理由と中身がつながっていることは別です。なぜそれを望んでいるのかという背景に、相手の中身が応えているか。ここは一覧では出てきません。つながっていないと感じたら、提案そのものを組み替える判断になります。

3. 形が整っているか / 本人の言葉になっているか

話す内容に矛盾がないか、一貫しているか。これは文章として点検できます。

けれど、整っていることと、自分の言葉になっていることは違います。整った文章を読み上げている状態なら、聞いている側には伝わりません。熱量があるかどうかは、形の点検では出てこない部分です。

よくあるつまずき:「人が見る側」に移れば安心という誤解

境界が見えてくると、「任せられる工程から離れたほうがいい」と考えたくなります。作業に近い工程を手放して、判断に近い工程だけを担いたい、という発想です。

ここが、つまずきやすいところだと感じます。任せられる工程の中身を知らないままだと、そもそも境界が引けません。どこまで任せられるのか、どこから精度が落ちるのかは、自分で使ってみないと見当がつきません。両方を行き来している人のほうが、結果として判断に時間を使えています。

また、効率化は入口です。作業が軽くなること自体がゴールではなく、空いた時間と気持ちを何に向けるかで、仕事の中身が変わります。軽くなった分をそのまま件数に充てるのか、相手と向き合う時間に充てるのか。この配分は、職場によっても、自分の選び方によっても変わります。

明日からできる整理のしかた

紙でもメモアプリでも構いません。30分ほどで形になります。

手順

  1. 直近1週間か1か月の仕事を、工程として5つから8つに分けて書き出します。職種名や部署名ではなく、「情報を集める」「たたき台をつくる」「相手に話す」「社内を通す」のような動きの単位にします。
  2. 各工程を2列に分けます。左に「下書き、要約、整理など、任せられている(あるいは任せられそうな)部分」。右に「自分が目で見て判断している部分」。
  3. 右の列を、「〜しているか」という問いの形に書き換えます。「確認する」ではなく「相手が納得しているか」。「資料を直す」ではなく「相手の関心と内容がつながっているか」。
  4. 問いが3つ以上書ける工程に印をつけます。そこが今の自分の持ち場です。問いが書けない工程は、能力がないという意味ではなく、まだ判断を任されていない領域かもしれません。これから広げる余地として残しておきます。

自分に投げかける問い

  • この工程で、自分は何を確かめてから次に進んでいますか
  • 途中でやり方を変えた判断はどれですか。何を見て変えましたか
  • 自分が一週間抜けたら、何が止まりますか。誰が困りますか
  • 軽くなった時間を、いま何に使っていますか

4つ目は見落としやすい問いです。軽くなった時間の使い道が思い出せないとき、職場の設計の話か、自分の選び方の話か、どちらなのかを分けて考えると整理しやすくなります。

転職を考える場面でどう効くか

この整理は、書類や面接の場面でもそのまま使えます。「AIを活用して効率化しました」で止まると、何を担った人なのかが伝わりにくくなります。どの工程を任せ、そのうえで自分は何を確かめていたのか。この順で話せると、工程を理解していることと、判断した経験の両方が伝わります。

企業を見るときにも使えます。面接で、「この職種のどの工程を人が担っていますか」「効率化で生まれた時間は、何に使われていますか」と聞いてみる。返ってくる答えで、入社後に自分が向き合う仕事の中身が見えてきます。どこまで任せるかは、組織の体制や使える仕組みによって会社ごとに違います。だからこそ、求人票の職種名より、工程の話のほうが実態に近づけます。

よくあるご質問

自分の仕事は作業が多く、判断している工程がほとんどありません。市場価値がないということでしょうか

判断していないのではなく、まだ言語化されていないだけのことが多いと感じます。判断は、大きな決断だけではありません。どの順番で進めるか、誰に先に相談するか、この情報で次に進んでいいか。こうした小さな確認の積み上げが、工程を前に進めています。工程に分けて、「何を見てから次に進んだか」を思い出すと、拾えるものが出てきます。

AIの使い方を覚えるのと、判断の経験を積むのは、どちらを優先すべきでしょうか

どちらが先という順番より、つながっていると考えるほうが現実に近いと思います。任せ方がわかると時間が空き、空いた時間を判断や相手と向き合うことに使えます。逆に、判断の観点があるから、任せた結果を採るか直すかを決められます。片方だけを磨くと、どちらも中途半端になりやすい部分です。

工程に分けても、境界は会社によって違うのではないでしょうか

その通りだと思います。同じ工程でも、どこまで任せるかは体制や使える仕組みで変わります。だからこそ、固定の正解を探すよりも、自分がどの工程でどんな問いを持っているかを、持ち運べる形にしておくほうが役に立ちます。環境が変わっても、問いは一緒に移動します。

まとめ

職種という束のままだと、AIに代替されるかという問いに答えが出にくくなります。工程に分けると、速くなった作業と、速くならなかった部分が分かれて見えてきます。残っている部分は作業名では書けず、「〜しているか」という問いの形で現れます。その問いを書き出すことが、いまの持ち場と、これから広げたい領域を見分ける手がかりになります。書き出してみて、整理が途中で止まったときや、ひとりで並べるのが難しいと感じたときは、転職を決めていない段階でも、言語化のための相談先として私たちのような場を使ってみる選択肢もあります。

タグ:AI時代のキャリア市場価値仕事の棚卸し面接準備キャリアの言語化

この記事について

Staneer Agent 編集部が、キャリアアドバイザーの面談記録や支援の考え方(社内ナレッジ)をもとに、AIの支援を受けて作成しています。個別のご状況については、無料キャリアセッションでご相談ください。AIの活用方針はAIポリシーをご覧ください。

編集:Staneer株式会社 掲載日:

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